お便り to 20220225ブックカタリスト読書会
こんにちは、Sと申します。
ブックカタリストのポッドキャストは、先月から聴き始めました。
図書館への行き帰りや、家事をするときなどに聞いて、楽しく学ばせていただいております。
さて、今回私が紹介する本は、『世界の語り方』と『武器としてのヒップホップ』です。
どちらも、どのように世界をとらえ、どのように世界を語るのか、という、
知的好奇心を刺激される本でした。
まずは『世界の語り方』をご紹介します。
本書は、2018年9月に東京大学出版会から出されたものですが、
私がこの本を知ったきっかけは、Amazonのオススメだったと思います。
目次を確認してみたところ、とても興味をそそられる内容でした。
本書は、2冊のセットになっていて、それぞれ300ページほどあり、1冊2,860円です。
2冊で6,000円弱となりますから、即買いするには腰が引けます。
関心があるとはいえ、私に理解できる内容かどうかを確認するために、
図書館で取り寄せて読んでみました。
本書のメインは、座談会を収録したものです。
この座談会は、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラムという、
2008年にスタートした社会人向け講座の、10周年を記念して開催されたものです。
座談会に参加したのは、文系理系を横断する10数名の研究者で、
4つのテーマごとに5、6人が参加して行われました。
4つのテーマとは、「心の語り方」「存在の語り方」「言語の語り方」「倫理の語り方」です。
2冊のうち、1冊目に収録されているのが、「心の語り方」と「存在の語り方」、
2冊目に収録されているのが、「言語の語り方」と「倫理の語り方」です。
テーマごとに、座談会の文字起こしと、座談会の後に書かれたフォローアップのための文章が
セットになっています。
座談会での議論は話し言葉のせいか、恐れていたほど難しくはなく、
読み進めるのに苦労するということはありませんでした。
しかし、座談会のあとに出されたフォローアップの文章は、
今の私には難しくて、読み飛ばした部分もありました。
いちばん印象に残っているのは、「言語の語り方」での議論です。
西洋で育まれた、西洋語の「デモクラシー」は、
民衆(デーモス)の力(クラトス)からきた言葉なのに、
漢語で「民主主義」と表現してしまったことで、ズレが生じている。
このようなニュアンスのことが書かれていたのですが、
「民主主義」以外の言葉でも、言葉の意味がどこかしっくりこないときは、
その言葉が、日本に暮らす人たちの日々の生活において育まれたものでは
ないためである、という可能性があることを頭の片隅におくことで、
もやもやしていた概念をとらえ直すヒントになるかもしれないと思いました。
心、存在、言語、倫理、いずれのテーマもとても興味深い議論が展開されていたので、
今年は本書を購入して、じっくり読み込んでみようと思っていた矢先に、
ブックカタリストのポッドキャストを知りました。
自分の読みたい本リストに入っていた『Learn Better』の回(BC011)を聞いて、
まずは、どう学びを進めるかについてを先に学ぼうと思いました。
そして、『パーソナリティを科学する』の回(BC030)を聞いて、
自分の振り返り作業も、新たに学ぶ前の下準備として取り組みたいと思いました。
他にも『独学大全』(BC002)など、ブックカタリストで紹介されている本を読み込み、
より深い学びに臨む身体を整えてから、『世界の語り方』を再び手に取ろうと思っています。
東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラムは、東大EMPと略されています。
調べてみると、東大EMPの講座の受講料は、なんと600万円を超える金額でした。
本書は2冊で6千円弱ですが、600万円という数字を目にすると、むしろ安いと思えてきます。
私はこれまで読書するとき、本に書き込みをすることに、どうしても抵抗があったのですが、
本書については、書き込みのない本が欲しくなればまた買えばいい、くらいの気持ちで、
書き込みながらする読書を試してみたいと思っています。
では次にもう一冊、『武器としてのヒップホップ』をご紹介します。
著者は、ダースレイダーという1977年生まれのラッパーの方です。
本書は昨年末、2021年の12月に幻冬舎から出されています。
私のヒップホップのイメージは、「最近のアメリカ音楽でラップのあるやつ」くらいのもので、
日頃から好んで聴くジャンルというわけではなく、著者を知ったきっかけはYoutubeでした。
本書の発売前に、ご本人が章立てなどを紹介している動画 を見て関心を持ち、読んでみました。
ひとことで言うと、ものすごく影響を受けました。
自分の脳みそをパソコンに例えるなら、単にアプリをインストールするというのではなく、
OS自体をアップデートするようなインパクトがありました。
本書は 電子書籍 も出版されていて、目次や最初の数ページを試し読みすることができます。
また、著者がラジオ番組にゲスト出演し、本書について語っている動画 をYoutubeで
見ることができます。
著者が話す声のトーンやリズム、間の取り方、どんな言葉づかいで、何をどう伝えるのか、
著者のまとう空気感を感じ取ってから、著作に正対する読書というのは、
今の時代ならではの貴重な体験のひとつだと思います。
私からの紹介は以上です。
ブックカタリスト読書会という、すばらしい学びの場に関わるすべての皆さまへ感謝をこめて。
補足:『武器としてのヒップホップ』関連リンク
*電子書籍
*本書の発売前に、ご本人が章立てなどを紹介している動画
DARTHREIDER チャンネル
2021.11.30配信 ダースレイダー 片目ライブ! 武器としてのヒップホップ 到着!
*著者がラジオ番組にゲスト出演し、本書について語っている動画
TBSラジオ公式 チャンネル
2021.12.20配信 「ヒップホップの思考法」ラッパー ダースレイダー
番組名「アシタノカレッジ」
16:51 【今日の学びPART1】
47:39 【今日の学びPART2】